教員の職階とは|教諭・主任・主幹教諭・指導教諭と、新しい「主務教諭」の違い
40歳の時、管理職試験を受けました。
「教頭・指導主事試験」と呼ばれるものです。
午後の面接は、散々でした。
5つの質問を受けて、ほとんど答えられない。
最後の質問は、年休の計算問題でした。
結果は、もちろん不合格です。
それから長いあいだ現場を見てきて、心から思います。
「あの時、合格しなくてよかった」と。
負け惜しみと受け取られるのは、承知の上です(笑)。
ところで、2026年4月から、学校に新しい職ができました。
「主務教諭」です。
教諭と管理職のあいだに、新しい段ができる。
あなたには、関係があるのでしょうか?
この記事では、学校の職階を一度整理して、主務教諭があなたのキャリアのどこに関わるのかをまとめました。
〇この記事でわかること
✔ 教諭・主任・主幹教諭・指導教諭・主務教諭の違い
✔ 「主任」と「主務教諭」は、何が違うのか
✔ 職階を、自分のキャリアの中でどう考えればいいか
〇目次
① 学校の職は、法律で決まっている
② 職階を一つずつ見る
③ 「主任」は職ではない
④ 新しい「主務教諭」とは
⑤ 職階を、キャリアの中でどう考えるか
〇学校の職は、法律で決まっている
学校にどんな職を置くかは、学校教育法で決まっています。
小学校の場合、必ず置くのは、校長・教頭・教諭・養護教諭・事務職員。
そのほかに、副校長・主幹教諭・指導教諭・主務教諭・栄養教諭などを「置くことができる」とされています。
中学校も、ほぼ同じ形です。
高校も、置かなければならない職と置くことができる職の並びは少し違いますが、主幹教諭・指導教諭・主務教諭を「置くことができる」点は同じです。
つまり、主幹教諭も指導教諭も主務教諭も、置くかどうかは自治体が決める職です。
あなたの自治体に、どの職があるのか。
まずは、そこから確かめてください。
〇職階を一つずつ見る
学校教育法に書かれている、それぞれの職の仕事を、やさしく言いかえるとこうなります。
✔ 校長:校務をつかさどり、所属の職員を監督する
✔ 副校長:校長を助け、命を受けて校務をつかさどる
✔ 教頭:校長(と副校長)を助け、校務を整理し、必要に応じて子どもの教育をつかさどる
✔ 主幹教諭:校長・教頭を助け、命を受けて校務の一部を整理し、子どもの教育をつかさどる
✔ 指導教諭:子どもの教育をつかさどり、ほかの先生に、教育指導をよくするための指導・助言をする
✔ 主務教諭:子どもの教育をつかさどり、命を受けて、教育活動について先生どうしの総合的な調整をする
✔ 教諭:子どもの教育をつかさどる
こうして並べると、違いが見えてきます。
主幹教諭は、校務の「整理」。管理職の側に近い仕事です。
指導教諭は、授業や指導の「指導・助言」。教え方の専門家です。
主務教諭は、先生どうしの「調整」。現場の真ん中でつなぐ役です。
〇「主任」は職ではない
ここで、よく混同されるのが「主任」です。
教務主任、学年主任、生徒指導主事、進路指導主事。
これらは、学校教育法施行規則に定められた役割で、指導教諭か教諭を「充てる」ものです。
つまり、主任は職の名前ではなく、教諭が受けもつ役割なんです。
私自身も、30代半ばの頃に分掌主任をしたことがあります。
当時は、月に5,000円の手当がついていました。
立場は、ほかの教諭と同じです。
ところが、主務教諭は違います。
主任のような「役割」ではなく、学校教育法に置かれた「職」です。
施行規則では、主任が担当する仕事を整理する主幹教諭や、その仕事について調整を行う主務教諭を置くときは、主任を置かないことができる、とされています。
これまで主任が担ってきた役割を、主務教諭が職として引き受ける形もありうる、ということです。
〇新しい「主務教諭」とは
主務教諭は、2025年6月に成立した給特法などの改正でつくられた職で、2026年4月から置けるようになりました。
文部科学省の通知では、主務教諭の役割として、次のようなものが例に挙げられています。
✔ 教育相談や特別支援教育に関する連絡調整
✔ 校内研修・学校安全・情報教育・道徳教育など、学校全体にかかわる取り組み
そして、一定の経験や知識を持つ教諭の中から、こうした役割を担える人が任用されると考えられています。
心理や福祉の資格を生かしている人や、教職大学院を修了した人も含みうる、とされています。
お給料はどうなるのか。
国は、主務教諭のために新しい給料の級をつくり、ふさわしい処遇を考えるよう求めています。
あわせて、主務教諭を置いても教諭の仕事と責任は変わらないので、教諭の給与水準も確保するように、としています。
ただし、主務教諭を置くかどうか、いつから置くか、どう選ぶかは、各教育委員会の判断です。
東京都のように、もともとあった「主任教諭」をそのまま主務教諭に位置づけたところもあれば、導入を先に延ばした自治体もあります。
あなたの自治体の扱いは、必ず勤務先の案内で確かめてください。
〇職階を、キャリアの中でどう考えるか
さて、ここからは私の考えです。
教師にとって「キャリア」とは、管理職になるかどうかではありません。
仕事も私生活も含めた、人生そのものです。
だから、職階を「上るはしご」として見る必要はないと思っています。
私が管理職試験に落ちて「よかった」と思う理由の一つは、管理職には、事実上断ることのできない異動がついてくることでした。
時間と場所に、できるだけ縛られずに働きたい。
そう考える私には、合わない道だったんです。
あなたは、どうでしょうか?
✔ 管理職として、学校の方向を決める側に回りたいのか
✔ 主幹教諭・主務教諭として、学校の真ん中で人と仕事をつなぎたいのか
✔ 指導教諭のように、教え方の専門性を深めたいのか
✔ 教諭のまま、学校の外で別の専門性を育てたいのか
どれが上で、どれが下ということはありません。
若い頃なら、がむしゃらにトップを目指せばいい。
中堅になったら、若手をトップにする。
ベテランになったら、トップとともに働く。
主務教諭という新しい段ができた今こそ、自分はどこで力を出したいのかを、一度書き出してみてください。
制度の確認:2026年10月
この記事の制度に関する部分は、2026年10月時点の情報です。様式や方針は、勤務先の自治体・学校法人の案内で必ず確かめてください。